ドラマの収録では、ミキサーをしています。
録音の仕事はミキサーと助手に分かれますが、内容が多岐に渡り分かり辛いので野球に
例えると分かりやすいと思います。ミキサーは野球で言えば監督、助手は選手です。
実際に現場でセリフを録るのは助手です。野球と一緒でフィールドプレーヤーの能力が
音の出来を左右します。そこに全体を見ながらアドバイスを与え、
バランスを調整するのがミキサーの仕事です。
選手(助手)の技量を見て采配する(マイクアレンジをする)辺りも野球の監督に近いと思います。
基本的には台詞を録りますが、全体のお芝居を録ろうと思って
撮影現場に入っています。画にあった音はもちろん、画を超えた音を録ろうと
思っています。台詞だけを録るのは簡単ですが、役者さんのお芝居がより表現豊かに
聞こえるように、そのためには仕上げの作業でどういう調整をしたら
もっとよくなるかを考えながら、日々現場で録音をしています。
収録の前には、台本を読み込んで撮影の為の準備をします。
どんな風にお芝居が展開されるのかイメージしたり、実際に台詞を読んで、
言いづらいところがないか、イントネーションが曖昧なところがないか確認したり、
読めない漢字を調べておいたりして撮影に備えています。
台本を読んでいた時にイメージをした通り、撮影収録が終わったときです。台本を読み終わった時には8割くらい、自分の頭の中では音は録り終わっていて、このシーンはこんな声の大きさでお芝居していて...とイメージした通りに実際の展開がすすんで収録が終わった時、手応えを感じます。
仕上げ作業中に、「こうしたら良くなるな」と思ってやっていた事が思いのほか良く聞こえた時には、やったな!と思います。
自分でイメージしたもの以上の再現が出来た瞬間が、嬉しいです。仕上げ作業を行うMA室に入った時、何かが覚醒してアイデアがすごく溢れてくる時があります。
ここを少し調整した方がわかりやすいな、この台詞を足した方が良いんじゃないかな、と考えが次々に出てくる時は、楽しくなります。
仕上げ作業の方が好きかもしれないです(笑)でも、現場に出ないと自分の思った通りの音素材がないので、現場も仕上げもしたいですが、仕上げの方が「ものづくりしてる感」は一番あるのかと思います。自分が5年目くらいの時、更に上にいけると思って頑張っていましたが、いろんなことを考えすぎで嫌になってしまいました。
現場で、やり方をいろいろと組み立てているうちにわからなくなって、わからないまま終わってしまう事がありました。経験を積むうちに、取捨選択が出来るようになり、バランスがとれて解決していきました。
専門学生で就職活動していた頃は、ラジオがやりたくて、ラジオの求人を探していました。
ですが、求人がなくどうしようと思っていた時、ビデオスタッフの求人を見つけました。面接の練習だと思って、受けることにしました。
もう1社と、2社同時に試験を受け進める中で先にビデオスタッフから内定をもらう事になり、どうするか迷いました。就職難で困る友達もいる中で、当時、ビデオスタッフは渋谷に会社があったという事もあって、渋谷に惹かれて(笑)ビデオスタッフに入る事に決めました。
専門学校では、ほとんどドラマの音声の勉強はしていませんでした。ドラマ制作の実習がありましたが、自分は出演する側をやったりスイッチャーをやったりしていたので音声をあまり知りませんでした。
※スイッチャーとは…複数台あるカメラの中から、どのカメラの映像を使うか選択する作業
自分が担当しているドラマは面白いと思いがち...ですかね(笑)
でも、他の人がやっているドラマの方が、「いい音録れてるなぁ」とか「台詞よく聞こえるなぁ」と思ったりします。
仕事をする上で気をつけている事は、自分の立ち位置は常に気にしています。
人との関係性を注意深く、自分が今どの辺にいるのか、周りの環境の中でどの位置で振る舞えば良いのかを、自分を俯瞰で見ながら気をつけるようにしています。
失敗したり、うまくいかなかった事はよく印象に残っています。特に、コミュニケーションの取り方で、「あの時ああしておけばよかったな」と思うことがあると、ずっと覚えてたりします。
例えば、役者さんに対して、イントネーションなどのアドバイスをした後に、思い返して「あの言い方ではなくてこう言えばもっとわかりやすかったな」と思ったりしてずっとモヤモヤしています。
個人の目標はほぼないです。今の自分が出来る事で満足しています。後輩たちが、ちゃんと育ってくれてこれから売れてくれたらいいなと思います。でも、特殊な仕事だし実際に伝えていくのはなかなか難しいと感じています。後輩に対して、褒めることは他の先輩がやっていると思うので、自分はなるべく厳しくしようと思い、あまり褒めることはしていません。
ですが、放送されたものを見て、「この音の演出おもしろいな」と思った時に、それが監督発信ではなくミキサー発信のことだったら、すごいなと思います。仕上がりを見て聴いて、良かったと感じた事は、本人に会った時に「よかったよ」と伝えるようにしています。
自分も、監督やプロデューサーから褒められるのは嬉しいです。けど、褒められたくてやってはいないし、褒められたという事は相手もそこを気にしていて気付いてくれたということなので、そこを直したり良く出来た事は相手の意図を汲めてよかったな、と思います。
仕事をしていく上で、これまで割と年齢の近い監督と一緒にする事が多かったので、この先、機会があれば、すごく歳上の方や、逆に若手の監督と仕事をしてみたいと思っています。
お弁当はお肉が出てきたらすごく嬉しいです!特に、「崎陽軒」のシウマイ弁当、「焼肉屋さんの焼肉弁当」、「肉の大山」、「ミート矢澤」の極味弁当が大好きです...!
差し入れの好きなものは、「高山かきもち」、「グラマシーニューヨーク」の杏仁豆腐、カフェカーが来るとテンションがあがります!